みなさんこんにちは、まっつんです。
本日は粉塵爆発について解説します。
みなさんは粉塵爆発を知っていますか?「空気中に粉が舞っていると爆発して危ない」程度には、テレビやアニメなどで知っている人は多いんじゃないでしょうか。
しかし、例えば料理中に何かやらかして小麦粉が大量に空気中に舞って爆発した、というのはほとんど起こっていないんじゃないかと思います。なぜでしょうか。
先日、「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん 」というテレビ番組を見ていたら、「身近な危険」と称して粉塵爆発について紹介していました。小麦粉やホットケーキミックス、塩などを使用して粉塵爆発のミニ再現実験を行うというものです。
それ自体は面白かったのですが、肝心の原理について全く解説されていません。番組的には原理について解説しても視聴率につながらないかもしれませんが、変に恐怖心だけを与えてしまうのではないかとも思います。
あの番組を見られて、原理の説明はないんかい!とツッコミを入れた視聴者もいますよね!?(私だけ??)
というわけで粉塵爆発について解説します。
まず結論を示しておきますね。
~結論~
・粉塵爆発は①可燃性物質、②酸素、③熱源、④空気中の可燃性物質の適度な濃度、の4つの条件がそろった時に起きる。
ものが燃えるってどういうこと?

そもそも「ものが燃える」とはどういう現象でしょうか。ものが燃えることを「燃焼」といいます。燃焼の定義はこちら。
燃焼の定義
一般に熱と光の発生を伴う酸化反応のこと。
これだけ! 甲種危険物試験 合格大作戦!! (国家・資格シリーズ 42)より引用
燃焼の定義を示しましたが、とくに覚える必要はありません。大事なことは燃焼の定義ではなく、燃焼が起こるための3つの条件です。
燃焼が起こるための条件(燃焼の三要素)
①可燃性物質 ②酸素 ③熱源
これだけ! 甲種危険物試験 合格大作戦!! (国家・資格シリーズ 42)より引用
①可燃性物質は火を近づけたら燃えるものです。例えば紙や木材、紹介していた粉塵爆発の場合は小麦粉やホットケーキミックスが可燃性物質に当たります。
②酸素は空気中の酸素ですね。
③熱源は火です。(静電気なども熱源です。)
上記に挙げた3つの条件のうち、一つでも無くなると燃焼は起きません。

話は少し逸れますが、
燃えているものに水をかけると、水が火のエネルギーを吸収し水蒸気になることで冷却され、熱源を奪うことで消火できます。(③の条件を無くす)
消火器の中身が二酸化炭素のものがありますが、これは燃えているものの周囲にある酸素を二酸化炭素に置き換えて酸欠にすることで消火しています。(②の条件を無くす)
粉塵爆発

火を伴う爆発は、上記の燃焼が広範囲に渡って瞬時に生じることで起きる現象です。
小麦粉による粉塵爆発は、小麦粉が①可燃性物質、空気中の酸素が②酸素、何かしらの火(ライターやコンロなど)が③熱源、に相当します。
しかしこれら3つの条件があっても、必ずしも粉塵爆発を起こすわけではありません。粉塵爆発にはもう一つ条件が必要です。
空気中の粉塵濃度
もう一つの条件とは④空気中の粉塵濃度です。つまり空気中に舞っている小麦粉の量、小麦粉の粉どうしの距離が重要になります。
空気中に適度に小麦粉が舞っている場合、空気は①可燃性物質と②酸素の混合気体のようになります。そのような場所に③熱源を近づけると、熱源付近の小麦粉が燃焼します。
するとその燃焼そのものが③熱源となり、すぐ隣の小麦粉を燃焼させます。さらにその燃焼が熱源となりすぐ隣の小麦粉を燃焼させ…というように次々と連鎖的に燃焼が起きます。
この燃焼スピードが異常に速いため、広範囲で火を伴う爆発として観測されるのです。

一方で空気中の小麦粉濃度が低い(小麦粉どうしの距離が遠い)場合、上記のように小麦粉と酸素の混合気体のようになってはいます。しかしどこか一か所が燃焼したとしても、小麦粉どうしが離れているためその燃焼を熱源とした次の燃焼が生じません。
そのため少しくらい小麦粉が舞ってしまったとしても、粉塵爆発は起こることはないのです。

また空気中の小麦粉濃度が非常に高い(小麦粉どうしの距離が非常に近い)場合、同様に小麦粉と酸素の混合気体にはなっています。しかし空気中に占める小麦粉の量が多すぎて、小麦粉の周りにいる酸素の量が相対的に少なくなります。
するとどこか一か所で燃焼が生じたとしても、連鎖的に燃焼を起こすための酸素の量が少ないため(酸欠)粉塵爆発にはつながりません。

粉塵爆発のメカニズムを考えると、いろんな条件が合った時に起きるため結構偶発的な現象です。頻繁に起きるものではありませんが、起きると大惨事になりかねないので注意は必要です。
食塩では粉塵爆発は起きない?
上記番組内では、食塩を用いた粉塵爆発の実験では粉塵爆発は起きないことを示していました。
これはそもそも食塩、つまりNaClは燃焼しない(酸化反応を起こさない)からです。
NaClに火を当てても、固体から液体になるだけです。そのためいくら食塩が空気中に舞っていようと粉塵爆発は起きません。
まとめ
以上が粉塵爆発のメカニズムです。分かっていただけたでしょうか?
最後に本記事をまとめます。
・粉塵爆発は①可燃性物質、②酸素、③熱源、④空気中の可燃性物質の適度な濃度、の4つの条件がそろった時に起きる。
・粉塵爆発は頻繁に起こるわけではないが、起こった時は大惨事になる可能性がある。
以上、小麦粉は爆発する!、でした。