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「嫌われる勇気」岸見一郎、古賀史健 著
アドラー心理学の本です。4、5年前(2015年くらい?)に話題になりましたね。書店で見たことがある、あるいは実際に読んだことがある人は多いのではないでしょうか。
心理学の本ということで、専門的な知識が必要で難しいことが書いてあるのではないか…と敬遠されるかもしれません。確かに内容を理解し、自分の中に落とし込めるまでには時間がかかると思います。実際に著書の中では、理解し実践するのにこれまでの人生の半分の時間がかかる(現在30歳の人なら15年、つまり45歳になるまで要する)と述べられています。
しかし内容自体は哲人(アドラー心理学を体得した先生)と青年(人生に、人間関係に悩みを持つ青年)による対話形式です。読者もこれまでに経験したことがあるような話を例にとっており、読みやすい本となっています。
本記事では、人間関係に悩みを抱えている方や幸福でありたい方には是非読んでいただきたいと思います。
なぜなら世界はシンプルであり、誰もが今この瞬間から幸せになれるからです。
この本を一言で表すと、こちら!
【人は変われる、誰もが幸せになれる】
変わることって、難しいですよね。不安や恐怖感もあるかもしれません。
他の啓発本(夢をかなえるゾウや仕事は楽しいかね、など)にも変わることの重要性が説かれています。
頭では理解しているつもりなのに変われないのは何故か。その理由が書かれています。
またアドラーの考える幸せとは何かについても言及しています。
それでは詳しく見ていきましょう。
3つのキーワード
- トラウマは存在しない
- すべての悩みは対人関係
- 貢献感を持つことこそ幸福である
1.トラウマなんてない
いきなりパワーワードが出てきました。例えば昔、学校でいじめられて不登校になり、今も実家に引き籠っているとします。普通、虐められたことが原因(トラウマ)で不登校、引き籠りになったと考えると思いますが、アドラーはこの考えを全否定します。
原因論と目的論
そもそもこの考え方は、過去に起こった・体験したことが原因で現在の自分がいるという考え方です。過去にAだったから現在はBである、という考え方であり、これを原因論といいます。
一方でアドラーは原因論ではなく目的論を主張しています。つまり自分の行動は過去に縛られてはおらず、現在の目的を達成するためである、と。上記の例でいうと「不安だから外に出られない」(原因論)のではなく「外に出たくないから、不安という感情を作り出し利用している」(目的論)。
一見すると暴言のようにも聞こえますが、自分を変えたいのであれば目的論で物事を考える必要があります。上記の例に限らず、原因論で物事を考えていると非常に楽ではないでしょうか?だから人は変わろうと思っても中々変わることができない。人はできない理由、やらない理由を探すのが得意な生き物ですが、これは「変わらない」ことを決心しているから。
勇気の心理学
大切なことは「何が与えられているかではなく、与えられたものをどう使うか」、「今のライフスタイルを変える決心」です。これは7つの習慣でも同じこと(反応を選択する自由)が述べられています。
変わることを決心する、幸せになる勇気を与えるという点でアドラー心理学は勇気の心理学とも言われています。
2.すべての悩みは対人関係
今持っている悩みを想像してみて下さい。その上で世界に自分一人だけがいる、他人はいない状況になった場合もその悩みは依然として悩みとして存在しますか?
仕事・家族・恋愛、色々な悩みがありますが、これらの全ては対人関係にあります。中には自分ではどうすることもできないような悩みを抱えていませんか?これは課題の分離ができていません。
課題の分離
考え方はシンプルです。「最終的な結果を被るのは誰か」を考えます。自分ならそれはあなたの課題であり、自分以外なら他社の課題です。7つの習慣では「影響の輪」という考え方を示しています。
例えば自分の子供が勉強をしないのは誰の課題でしょうか。勉強をしない結果を将来被るのは子供であるため、これは他者の課題です。しかし他者の課題であるにもかかわらず、勉強しなさいとうるさく言う、何故うちの子は勉強しないのかと悩んでしまうことはありませんか?
これは子供のためを思って言っているかもしれませんが、親の世間体であったり勉強ができる子供は親の自慢であったりしないでしょうか。周りからの目を、承認欲求を子供を通して求めているに過ぎないのではないでしょうか。
承認欲求は捨てる
アドラーは承認欲求は捨てなければならない、他者の期待を満たすために生きてはいけないと言っています。上記の例で、子供に対して無関心になれと言っているのではありません。子供に対して強要するのではなく、あくまで見守り、勉強でもスポーツでも芸術でもやりたいことがあったら全力で支援すればよいのです。
自分が自分のために自分の人生を生きていないのであれば、いったい誰が自分のために生きてくれるのでしょうか。自分にとっての最善の選択・行動によって、他者がどう判断するかは他者の課題です。
人は自由であり、行動の結果他者から嫌われても良いではないか。10人中1人や2人に嫌われてもその他の8人が好いてくれていればそれでよいではないか。
「何が与えられているかではなく、与えられたものをどう使うか」。反応の選択の自由です。
3.貢献感を持つことこそ幸福である
貢献感を持つために必要なキーワードが3つあります。自己受容と他者信頼、そして他者貢献です。
自己受容
大切なことは与えられたものをどう使うのか。「できない自分」をありのままに受け入れて前に進んでいくことが大切であり、「自分で変えられるもの」に注力し、前に進む勇気が必要なだけです。
行為レベルではなく、存在レベルで受け入れましょう。
他者信頼
他者を信頼する際に一切の条件をつけない、無条件に信じること。ただしあくまでも、対等な関係、横の関係を築いていくための手段である。もしその人との関係性を改善したいと思わないなら実践しなくても良いのです。
信頼することを恐れていたら、確かな関係を築くことは出来ません。
他者貢献
他者貢献とは、わたしを捨てて誰かに尽くすことではなく、むしろ私の価値を実感するためにこそ、なされること。わたしは誰かの役に立っている、と実感できることが幸福であると述べています。
自分を受け入れ(自己受容)、他者を仲間だと思い(他者信頼)、誰かの役に立つことで自分の居場所を見出すことができます。
貢献感さえ持てれば、それで十分なのです。
以上、嫌われる勇気の紹介でした。もっと詳しく知りたい方は実際に本を手に取って読むことをお薦めします。