第58回気象予報士試験 学科一般

こんにちは、おまつ(まっつん)です。

先日、8月21日(日)に第58回気象予報士試験を受験してきました。​

初受験。合格目指して頑張りましたが、どうなったか・・・。​

​ 

今回は学科一般試験について、試験中に考えたことや、解説のようなものを書きましたので参考にして下さい。​

どちらかといえば、私の反省の意味あいが強いです。​

今のところ問題は掲載しませんので、お手元に問題用紙を用意して確認ください。

 

間違っているところや、説明が分からないところがありましたらお知らせください。適宜修正致します。

 

問1 地球大気の鉛直構造と化学組成

正解は

(a)誤​

対流圏の気温は放射平衡と対流(空気のかき混ぜ)により決まります。平均的に高度が1km高くなると約6.5℃低下することは正しい。また、放射収支によってきまるのは放射平衡温度です​

​ 

(b)正​

赤道付近は太陽放射が大きく気温が高いため、対流圏界面高度は高い。高緯度の向かうほど対流圏界面高度は低くなります。​

​ 

(c)誤​

大気の化学組成は高度80kmまで同じです(窒素約78%、酸素約21%、アルゴン約1%)。高度80kmはちょうど中間圏界面に相当します。成層圏界面は高度50kmに相当します。成層圏界面が問題になるのは、成層圏で気温が一番高いがオゾン濃度が最も濃いわけではない、という内容です。​

​ 

(d)正​

夏極と冬極の緯度別、高度別の気温分布は頻出です。一般気象学にもある、図をそのまま覚えてしまいましょう。さらに気温だけでなく、西風、東風どちらが卓越しているかも合わせて覚えましょう。

 

 

問2 気体の状態方程式

正解は

 

難問です。理系の方でも難しかったのではないでしょうか。​

(a)高校化学で習う理想気体の状態方程式はPV=nR*Tです。一方で気象学ではPV=mRTとして習います。どちらの式も本質的には同じです。物質量nと質量mは、気体の分子量Mを用いてn=m/Mと表すことができます。​

このnをPV=nR*Tに代入すると​

PV=(m/M)R*T​

となり、もう少し分かりやすいように記述すると​

PV=m(R*/M)T​

となります。すなわち気象学における気体定数Rは、化学で言う気体定数R*を気体の分子量で割った値です。​

R=R*/M​

 

乾燥空気の気体定数をRdとすると、分子量が29なので​

Rd=R*/29 式1​

と書けます。同じように今回求めたい水蒸気の気体定数をRwとすると、分子量が18なので​

Rw=R*/18 式2​

と書けます。​

式1を式2に代入するとことでRwを求めます。​

Rw=Rd ×(29/18)=287×(29/18)=462​

 

(b)単位体積m3当たりの質量を問われています。つまり密度を求めればよいです。気体の状態方程式を変形して​

PV=mRwT​

P=(m/V)RwT​

P=ρRwT​

ρ=P/(RwT)​

​ 

ここで圧力Pは水蒸気圧です。水蒸気圧は問題文で与えられています。つまり27℃の飽和水蒸気圧が36hPa、相対湿度が50%とあるので、P=36hPa×0.5=18hPa=1800Paです。​

密度を求めると​

ρ=P/(RwT)=1800/(462×300)=0.013​

​  

また密度の計算時に1800ではなく間違えて18を代入しても答えにたどり着けます。計算結果は0.00013になりますが、13という数字が出てくるのでどこかで前係数をミスったと思えばよいだけです。​

このように気象予報士試験では選択肢が0.013のほかに1.3とか0.00013などがないため、単位の接頭辞(キロとかメガなど)を気にして計算しなくても答えに行き着きます。​

もちろん理解しながらそうすべきですが。​

 

問3 混合比と空気塊の混合

正解は

  

この問題は試験中は分かりませんでした。​

​ 

空気塊Aに含まれる乾燥空気の質量をmd、水蒸気の質量をmwとすると混合比qは以下のように書けます。​

q=mw/md 式1​

​ 

問題文から、空気塊Bに含まれる乾燥空気の質量は2md、混合比は2qです。空気塊Bに含まれる水蒸気の質量をmw,bとすると​

2q=mw,b/2md 式2​

​ 

式1と式2を見比べれば、​

mw,b=4mwであることが分かります。​

​ 

さて、ここで私は両者を足せば結局3qになるのでは???と思いましたが、選択肢にありません。上記の流れは間違っていないはず…。とりあえず分母に3がある④番を選びましたが、正解は③です。​

​ 

式1と式2をそのまま足すのではなく、水蒸気と乾燥空気を別々で足さなければいけません。つまり​

水蒸気の質量 = mw+4mw = 5mw

乾燥空気の質量= md+2md = 3md

​ 

よって求めたい混合比q’は​

q’=5mw/3md = (5/3)(mw/md) = (5/3)q​

となります。難しかったです。

  

問4 雲中における氷粒子の成長

正解は

 

この問題は間違えてしまいました。④を選択してしまった。​

(a)誤​

氷晶が板状に成長するか柱状に成長するかは、過飽和度と温度によって決まります。​

​ 

(b)誤​

温度が高いほど、雪は付着しやすいです。高いとは言っても溶けて雨になったら意味がないので、せいぜい0℃くらいでしょう。さらさらの雪と、ちょっと湿ったべたつく雪、どちらが雪玉を作りやすいかをイメージするとよいです。​

​ 

(c)誤​

あられやひょうは、過冷却水から氷(液体⇒固体 つまり凝固)になります。文中の「昇華」は気体から固体、または固体から気体になることを意味します。ですので、「昇華」は明らかな間違いです。私は迷うことなく正だと思ってしまいました。反省です。​

​ 

(d)正​

強い上昇流の中で凝固や、氷同士が衝突して併合し、ひょうにまで成長します。​

ちなみに、あられは直径5mm未満、ひょうは直径5mm以上です。​

 

問5 地球放射と太陽放射

正解は

 

(a)正​

いわゆる地球全体のアルベドが0.3であることは、このことを意味します。図の太陽放射の収支割合は暗記必須です。​

 

​ 

(b)誤​

水蒸気は長波放射をよく吸収し、放出します。二酸化炭素よりも水蒸気の方が温暖化効果が高いと言われています。ですので最後は、大気から地表に到達する長波放射は「多い」、です。​

​ 

(c)誤​

これは私の知識不足で解説できませんが、aとbが分かれば正解にたどり着けます。​

雲の厚みによって放射冷却の程度が異なることは知っていましたので、高度によっても差はありそうな気がします。​

​  

問6 温度風、ホドグラフ

正解は

 

ホドグラフを描きましょう。下層風から上層風に向かう鉛直シアベクトルを描き、北半球なら進行方向右手が暖気、南半球なら進行方向左手が暖気ですね。​

よって、暖気移流は(a)、寒気移流は(b)(c)(d)です。​

 

平均気温は(b)は西が低く、東が高い​。

(c)南が低く、北が高い(東西方向は同じ)​。

(a)(d)西が高く、東が低い​。

​ 

ここまでで正解を絞り込めますね。​

水平温度勾配が最も大きいものは、鉛直シアベクトルが最も大きいものを選べばよいです。​

水平温度勾配が大きい順に並べると(b)=(d)>(a)>(c)​

ですので(b)と(d)が勾配が最も大きい。​

​ 

すべてに当てはまるものは(d)です。​

 

問7 風の収束・発散と渦度

正解は

 

最初見たとき、風が斜めに吹いてるやめてほしい、と思いました。​

しかしよくよく見れば、東西南北の風に分解すれば良いことが分かります。​

実際にすでに問題の図には()内に東西成分と南北成分の風速が示されています。​

​ 

まず直方体の上面から1m/sの風が吹き込んできます。上面の面積は100です(単位は無視します)。つまり面積100に均一に風が吹き込んでいると考えて、直方体に単位時間に流入する風の体積は1×100=100となります。​

同じように側面から流入する風の体積は、1×10 + 1×10  = 20です。​

一方で側面から流出する風の体積は2×10 + 2×10 = 40です。​

以上から流入する風の体積は合計120であるのに対し、流出する体積はわずか40です。両者の差80が、直方体の下面から流出します。​

下面の面積も上面と同じく100ですので、求める風速は80/100 = 0.8m/sとなります。流出するので下向きです。​

​ 

次は渦度です。4または5が分かれば良いので、他は無視します。​

平面図の北面と南面はともに西風2m/sです。北面では時計回りに、南面では反時計回りに同じ風速でこの正方形を回転させようとしています。相反する力なので打ち消しあいます。​

一方で西面は南風1m/s、東面は北風4m/sです。どちらの面も正方形を時計回りに回転させる力を持っています。よって両者を足し合わせて5となるので、正解は⑤です。​

 

問8 ブロッキング高気圧

正解は

 

(a)正​

移動が遅いため、長期間にわたって異常天候が起こりやすいです。​

​ 

(b)正​

ブロッキング高気圧が生じるときはジェット気流が南北に蛇行しているときです。ジェット気流が南北に蛇行していると、切離低気圧が生じることがあります。​

​ 

(c)正​

南半球は陸地よりも海の方が多く、風の障害となるような大きな山脈がありません。一方で北半球は陸地が多く、風の進行を邪魔するような大きな山脈が多数存在します。そのため北半球のほうがジェット気流が蛇行しやすく、ブロッキング高気圧が発生しやすいです。​

​ 

(d)誤​

実技試験の対策をしている場合、緯度1°が111kmであるという知識が身に付きます。ブロッキング高気圧のスケールを私は正確には知りませんが、仮に200km程度だとすると緯度2°分しかないような高気圧になってしまいます。感覚的に小さすぎるため誤だと判断しました。(a)~(c)までが分かれば(d)は分からなくても大丈夫な問題でした。​

 

問9 海陸風

正解は

  

海陸風について理解しておくことは以下の通りです。​

 

・日中は太陽放射により、陸上は高温になりますが海の温度はほとんど変化がありません。相対的に温度の大小関係は陸上温度>海上温度となります。​

・夜中は放射冷却により温度の大小関係が逆転し、陸上温度<海上温度となります。​

・日中は陸上温度がかなり高くなるため、空気の密度が小さくなり層厚が厚くなります。すると陸上よりも海上のほうが相対的に高気圧となり、海から陸へ向かう海風が生じます。​

・海風が陸上に到達すると、高温の陸上によって温められ上昇気流が発生。高度の高い場所では海上よりも陸上のほうが高気圧であるため、上空では陸から海に向かう風が発生します。​

・夜間では陸上が冷却されるために層厚が薄くなり、日中とは真逆の理由で、真逆の風である陸風が吹きます。​

・日中の太陽による加熱効果が大きいため、海風のほうが陸風よりも一般的には強くなります。​

​  

以上を踏まえて、

(a)誤​

陸地が湿っている場合、乾燥している場合よりも太陽による加熱効果が小さくなってしまうため、海風は弱くなります。​

​ 

(b)正​

その通りです。​

​ 

(c)誤​

一般的に海風の方が風速は大きくなります。​

​ 

(d)誤​

一般的に海風の方が層厚は厚くなります。​

 

問10 成層圏突然昇温

正解は

  

(a)西風​

理由は知りませんが、成層圏が西風(冬極)の時に対流圏のプラネタリー波が上方に伝播できます。成層圏が東風(夏極)の時は上方へ伝播できません。よって西風です。​

​ 

(b)下降​

成層圏大気が下へと引きずりおろされます。大気が下降することで断熱圧縮が生じ、気温が上昇します。これが昇温する理由です。​

​ 

(c)上層​

大気が下降して昇温するので、その影響が出るのは上層からです。​

​ 

問11 温室効果ガス、地球温暖化

正解は

 

(a)誤​

二酸化炭素は太陽放射(短波放射)をほとんど吸収しません。二酸化炭素が吸収するのは地球放射(長波放射)です。大気中濃度の変化は正しいです。​

​ 

(b)誤​

同一の分子数で考えた場合、メタンの温暖化効果は二酸化炭素よりも大きいです。つまり少量のメタンと多量の二酸化炭素が同等の温暖化効果を持ちます。メタンの発生原因は正しいです。​

​ 

(c)正​

私は間違えました。一酸化二窒素は化学式でN2Oと書きます。NOxの類だと思ったので、工業活動や自動車の排気ガスから排出され、土壌や海洋からは排出されないと思いました。ところがこの問題は正なので、土壌や海洋からも排出されるようです。中途半端な知識と結びつけると失点する例です。​

​ 

(d)正​

フロンなどのハロカーボン類は二酸化炭素よりも温暖化効果が大きいです。これはオゾン層の破壊と結びつきます。オゾン層破壊においてフロンなどは触媒の働きをします。つまり少量のフロンが大気中に放出されると、オゾン層の破壊速度が速くなります。結果として成層圏における紫外線の吸収が減り、地上まで到達する紫外線が増え、温暖化します。​

 

問12 予報業務の許可制度

正解は

 

(a)正​

その通りです。​

​ 

(b)正​

その通りです。保存期間は2年です。​

​ 

(c)正​

その通りです。予報業務の目的や範囲を変更した場合は、気象庁長官の「認可」が必要です。​

​ 

問13 気象予報士

正解は

 

(a)誤​

欠格事由は2年です。​

​ 

(b)正​

気象予報士試験に合格したら、いつでも登録できます。期限の制約はありません。合格して10年経ってから、何故か思い立って登録することもできます。​

​ 

(c)誤​

これも2年です。ちなみに「気象業務法」の規定により罰金を受けるような場合が対象で、例えば交通事故など「道路交通法」違反で罰金以上になった場合は関係ないので、そのまま気象予報士として活動できます。​

 

・不正により気象予報士試験を受けることができない・・・
・気象業務法に違反して罰金後の再登録・・・
・予報業務の記録保管・・・
・気象予報士が足りなくなった。・・・週間以内に補充する
・一部を休止、廃止した時は・・・30日以内に、その旨を気象庁長官に届け出る
 

問14 気象業務法で規定する罰則

正解は

 

私は①だと思い、間違えました。​

​ 

(a)正​

その通りです。気象庁が管理している施設や測定機器を無断で移動させたり、壊したりしたら罰則対象です。​

​ 

(b)正​

その通りです。基本的には検定機関による検定を受けた測定機器を使用しなければなりません。​

ちなみに、測定機器を検定に出すのは予報業務の許可を受けた事業者です。また、大学などの研究機関、小学校などでの教育目的、国土交通省管轄の測定機器は検定を受けている必要はありません。​

​ 

(c)誤​

間違えました。​

この問題は、気象庁長官に届け出ていなかったこと自体は問題ありです。しかし届け出ていなかったとしても、「罰則」は適用されないようです。つまり、届け出は必要だけど、届け出が無くても罰則にはならんよ、ということです。ややこしいですね。​

 

問15 消防法

正解は

 

正攻法は細かいことも覚えることでしょう。大変です。​

私は(c)が警報、つまり火災警報だと判断しました。火災警報を出すことができるのは市町村長です。よって⑤です。合っててよかった。

 

以上です。

 

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